公認心理師と多職種連携
公認心理師法第42条第1項「公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対して、保険医療、福祉、教育等が密接な連携の下で統合的かつ的確に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない」
つまりちゃんと関係する、医療や福祉や教育の専門家たちと、連携しながら仕事をしなさいということです。
医療領域の心理師と公認心理師制度
では公認心理師制度が医療領域に与える影響について次のように書かれています。
「公認心理師法」はその第 42 条で、業務に当たって各分野との連携を挙げるとともに、「心理に 関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときはその指示を受けなければならな い」と規定しており、多くの異見がある中、少なくとも医療機関においては心理職の職能が法律 の上で認められ担保されたと理解できます。これまで医師の指示によりバイオフィードバック療 法を含むさまざまな心理療法を心理職が担当してきましたが、それは法律の裏付けのない、『医行 為』との整合性が担保されないままのグレーゾーンの中での心理臨床活動であり、多くの心理職 が医療現場で、「資格のない中で医行為と捉えられてもおかしくない心理療法を続けても良いも のだろうか」と悩みながらも日々の職務に専念してきたことが史実と思います。今回施行される 公認心理師法により、医療機関の中での心理職の職能と責務が明確となり、心理職の職能が担保 されたチーム医療が進むものと考えられるなど、医療現場では大きな意味のある法律と言えます。
チーム医療と公認心理師の役割
によると、
チーム医療とは、一人の患者に複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して、治療やケアに当たること
とされています。
チーム医療に関わる職種として、
- 医師
- 医療ソーシャルワーカー
- 医療リンパドレナージセラピスト
- 管理栄養士
- 看護師
- 義肢装具士
- 救急救命士
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 歯科衛生士
- 視能訓練士
- 診療情報管理士
- 診療放射線技師
- 精神保健福祉士
- 薬剤師
- 理学療法士
- 臨床検査技師
- 臨床工学技士
- 細胞検査士
- 臨床心理士
- 患者・ご家族
が挙げられていました。
「患者・ご家族」は「職種」ではありませんが、チームのメンバーとしてキーパーソンとなるということですね。
医療リンパドレナージセラピストって、よく知らなかったのですが、がんなどによって生じるリンパ浮腫に対して、医師の診断や指示のもとに患者や家族への生活指導・理学療法などを行う施術者とのことです。医師・正看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師のみが取得することのできる日本医療リンパドレナージ協会が認定する民間資格なのだそう。
緩和ケアチームにおける公認心理師
「チーム医療」では、必要に応じてさまざまなチームが作られます。
例えば、「緩和ケアチーム」では、緩和ケア病棟に入院していたり、施設や在宅で療養中の余命が限られた患者を対象に、QOL(人生・生活の質)の改善を目的としてチームで介入します。
①身体的症状(痛み、吐き気・嘔吐、身体のだるさ、呼吸困難など)
②心理・社会的問題(病気による落ち込み・悲しみ、仕事や家族などの悩みなど)
③スピリチュアルな症状(死や病気への恐怖、自己の存在意義や価値についての苦しみなど)
といったことが目的として挙げられており、臨床心理士は患者さんの不安や家族のケアを担当します。公認心理師もこうしたところを担うようになると思われます。
チーム医療推進のための基本的な考え方と 実践的事例集 - 厚生労働省
によると、
専門職種の積極的な活用、多職種間協働を図ること等に より医療の質を高めるとともに、効率的な医療サービスを提供すること
がチーム医療の目的として掲げられています。
また、医療の質的な改善をはかるために、
①コミュニケーション、②情報の共有化、③チームマネジメントの3つの視点が重要であり、効率的な医療サービスを提供するためには、①情報の共有、 ②業務の標準化が必要である。
とされていました。カンファレンスの重要性なども指摘されています。
『精神療法』誌では、公認心理師とチーム医療について特集されていますね。
特集 公認心理師とチーム医療
チーム医療において活躍できる公認心理師教育に向けて:下山晴彦
〈1 公認心理師をめぐるチーム医療の発展に向けて〉
- 心理職をめぐるチーム医療の現状と課題:上田麻美・下山晴彦
- チーム医療において期待される心理職の役割:藤澤大介
- 発達障害支援における多職種協働と心理職の役割:鈴村俊介・青柳恵理・村山典子
〈2 公認心理師をめぐる多職種協働チームの基礎〉
- 多職種協働のためのチームワーク論:高橋美保
- チーム医療のための専門職連携教育(Interprofessional Education : IPE):川島義高・山田光彦
- 事例検討のための多職種連携:田中真理
〈3 公認心理師をめぐるチーム医療のこれから:がん医療・緩和医療をフィールドとして〉
といった内容だそう。
今度、読んでみます。
また、ウェブ上で読める医学書院のインタビュー記事も参考になります。