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インフォームド・コンセントと医療倫理の基本4原則|公認心理師試験勉強

 

医療倫理の基本四原則

Beauchampらによる医療倫理の四原則は、医療現場で働く公認心理師にも当然適用されることになります。以下の四つ。

自律尊重原則

自律的な意思決定を尊重すべきという原則です。いわゆるインフォームド・コンセント=「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」も、この自律尊重原則に基づいています。

医療教育情報センターというサイトの「医療倫理の四原則」というページには、

自律尊重原則の積極的責務とは、患者が治療上の決定を下すために必要な情報を開示し、自律的な決定を促進することである。この原則を支持する道徳規則には、1)真実を語れ、2)他人のプライバシーを尊重せよ、3)秘守情報を保護せよ、4)侵襲のための同意を得よ、5)依頼を受けた場合は、他人が重要な決定を下す援助をせよといったものがある。

とまとめられていました。

善行原則

同じく、善行原則については、

善行原則とは、他人の利益のために行為すべきであるという道徳的責務である。この原則を支持する道徳規則には、1)他人の権利を保護・擁護せよ、2)他人に危害が及ぶのを防げ、3)他人に危害をもたらすと考えられる条件を取り除け、4)障害者を援助せよ、5)危機に瀕した人を援助せよといったものである。

とまとめられています。

無危害原則

無危害原則とは、「危害を引き起こすのを避けるという規範」あるいは、「害悪や危害を及ぼすべきではない」ことであると定義される。無危害の責務は、危害を加えない責務だけでなく、危害のリスクを負わせない責務も含む。無危害原則が支持する道徳規則には、1)殺すな、2)苦痛や苦悩を引き起こすな、3)能力を奪うな、4)不快を引き起こすな、5)他人の人生から良いものを奪うなといったものである。

「傷つけるべからず」という原則は、古代ギリシャの「ヒポクラテスの誓い」にさかのぼることができます。

  • 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
  • 依頼されても人を殺す薬を与えない。
  • 同様に婦人を流産させる道具を与えない。

といったものですね。

正義原則

正義原則とは、「社会的な利益と負担は正義の要求(各人にその正当な持ち分を与えようとする不変かつ不断の意思)と一致するように配分されなければならない」ということなんだそう。

 

インフォームド・コンセントとカウンセリング

カウンセラーにとっての、インフォームド・コンセントはどのように考えられているのかを調べてみたところ、次のような論文がヒットしました。

ci.nii.ac.jp

 

「高校のスクールカウンセラーとして,学校の中のカウンセリングルームで精神分析を基本とした個人心理療法の技法である人間存在分析をおこなった。面接を開始するにあたって,筆者はクライエントに人間存在分析の原理と技法を説明する」

とあって、「高校で現存在分析」という意外な感じが、なかなか面白かったです。

論文にもあったように、フロイトの述べた「治療同盟」も、インフォームド・コンセントと考えたら、前々から言われてきたことだということですね。

 

医療倫理四分割法

「本人は入院は嫌だと言っているけれども、家族としては入院治療を望んでいる」「患者は治療を受けたいが、家族は精神科の薬に反対している」というような状況は、医療現場ではよく起こることです。

医療関係者は、

「あっちを立てればこちらが立たず」

「板挟み」

になって困ってしまうわけです。

こうしたときに、ジョンセン(Jonsen)による「医療倫理四分割法」が役に立つのだと。

 

医学書院/週刊医学界新聞(第3059号 2014年01月13日)

このページには、「モヤモヤよさらば! 臨床倫理4分割カンファレンス」というタイトルで、具体的にどう考えるかということが紹介されていました。

カンファレンスでは「医学的適応」「患者の意向」「周囲の状況」の順に話し合いを行い,「QOL」の項目にて患者の現在のQOLの確認と,その向上に必要なことを検討します。そして,そのために"誰が,いつまでに,何をするのか"を「Next Step」として規定しています。

とのことです。