公認心理師国家試験の勉強として、ここでは「産業・組織に関する心理学」のキーワード(ブループリントから)をまとめています。
(1)職場における問題に対 して必要な心理的支援
過労死
「過労死等防止対策推進法(2014年)」
過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とする (第1条より抜粋)
過労死は、
「業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」を過労死等と定義されています。
過労死等の防止対策として、
- 調査研究等
- 啓発
- 相談体制の整備等
- 民間団体の活動に対する支援
が規定されました。
残業時間が長いほど「過労死」に 厚労省が白書(16/10/07)
ハラスメント
まずはこの動画を見ましょう。
という文書(pdfファイルです)では、
Ⅰ 均等法におけるセクシュアルハラスメント対策
Ⅱ 均等法上の「職場におけるセクシュアルハラスメント」とは
Ⅲ 「職場におけるセクシュアルハラスメント」の種類は
Ⅳ 事業主が雇用管理上講ずべき措置とは
Ⅴ 対応事例
Ⅵ セクシュアルハラスメント関連条文、指針
といった項目が取り上げられています。
リワーク
「リワーク」(Re-Work)とは、メンタルヘルスの不調で休職した人が、復職に向けて行う準備です。うつ病から回復しかけたと言っても、いきなり職場に戻って前と同じように働いても、また再発してしまうことがあります。再発リスクを減らすために、リハビリをしながら、ストレスへの対処スキルや働き方の工夫などを、復職支援プログラムを通じて身につけます。
「うつ病リワーク研究会」による「ドラマで学ぶリワークプログラム」の予告編がわかりやすかったですよ。
キャリアコンサルティング
「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
とのこと。キャリアコンサルタントは国家資格です(キャリア・コンサルティング資格が2016年より国家資格化されています)。
ストレスチェック制度
まずはニュースです。
労働安全衛生法の一部改正を受け、平成28年にストレスチェック制度が施行されました。
障害者の就労支援
群馬テレビの特集から。
【特集】障害者の雇用促進に向け就労支援(2018/02/28)
日本における障害者総数は、約744万人。このうち雇用対策対象者(18〜64歳の在宅者)は約332万人(身体障害者124万人、知的障害者27万人、精神障害者181万人)です。障害者の地域における就労支援を進めるために、障害者総合支援法では、
- 就労移行支援事業
- 就労継続支援A型事業
- 就労継続支援B型事業
などが定められています。
ポジティブ心理学
ポジティブ心理学については、第一人者のセリグマン博士のTEDトークなどを聞いて、勉強したふりをしておきましょう。
ダイバーシティ
「ダイバーシティ(diversity)」とは、「生物多様性」「遺伝的多様性」「文化多様性」「人材の多様性」といった意味合いで使われる言葉です。
産業分野では、さまざまな背景や特徴をもった人たちがお互いの多様性を認め合いながら協働することを表しています。
関連して、「インクルージョン(inclusion=包括・抱合)」という言葉が使われることもあります。
国籍や人種、性別、学歴、障害の有無などにとらわれず、それぞれの多様性や能力、経験などを尊重して、働きましょうということですね。
ワークライフバランス
まずは内閣府の次の文章に目を通しましょう。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 - 「仕事と生活の調和」推進サイト - 内閣府男女共同参画局
総務省がYoutubeで公開している次の動画も面白いです。政府もネットをいろいろ活用してるんですねえ。
両立支援(仕事と家庭、治療と仕事)
上記の動画などを参考に。
(2)組織における人の行動
リーダーシップ
社会福祉士の過去問に次のような問題があるようです。
問題122 リーダーシップに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 人間関係を友好的に保つための配慮と, 集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは, 専制的リーダーシップの特徴である。
2 リーダーシップのあり方として, 状況に合わせたスタイルや行動が重視される。
3 変革型リーダーシップは, 安定した環境において効力を発揮するといわれている。
4 リーダーシップは, 組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。
5 フォロワーがリーダーを支えるフォロワーシップは, リーダーシップに影響を与えることはない。第26回-社会専門122 | 社会福祉士・精神保健福祉士国家試験対策 !!
正解は2とのこと。
リーダーの資質ではなく、状況に応じて役割を変える必要性を述べたSL理論 (Situational Leadership: リーダーシップ条件適応理論)についての問題。
安全文化
「安全文化(セイフティカルチャー)」という考え方は、1986年に発生したチェルノブイリ事故の原因の調査と検討の結果をきっかけとして生まれました。調査にあたった国際原子力機関(IAEA)の国際原子力安全諮問グループ(INSAG=International Nuclear Safety Advisory Group)は、事故の原因を分析していく中で、この事故の根本的な原因として、そもそも現場の作業者も、また原子力発電所の運転にあたっている事業者も、そして国レベルでも、原子力の安全に対する考え方や意識そのものに問題があるのではないか、それは「文化」と呼べるほどの深さと広さをもって、個人や組織あるいは社会の意識や行動を左右しているのではないかとの疑問を提起しました。
動機づけ理論
マズローの欲求階層説など。
- 自己実現の欲求
- 承認の欲求
- 所属と愛の欲求
- 安全の欲求
- 生理的欲求
詳しくは、
組織風土と文化
日経ビジネスの次の記事を読みました。
(3)産業・労働分野に関す る法律、制度
労働基準法
労働安全衛生法
労働契約法
障害者の雇用の促進等に関する法律< 障害者雇用促進法>
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律<男女雇用機会均等法>
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律<労働者派遣法>
心の健康の保持増進のための指針
厚生労働省チャンネルの動画。
ストレスチェック制度
さっきも出てきましたね。ブループリントに二回(以上)登場するキーワードは、それだけ試験問題にも出やすいのではないでしょうか。
(4)産業・組織に関する心理学の予想問題
産業・組織に関する心理学の予想問題としては、精神保健福祉士や社会福祉士の過去問が参考になりそうですね。例えば次のような、精神保健福祉士の過去問。
平成29年1月 精神保健福祉士 国家試験 過去問 第14問
職場のメンタルヘルス対策に関する次の記述のうち,正し いも のを 1 つ選 びなさい。
1 ラインによるケアでは,保健所や精神保健福祉センターなどの外部の機関を活用して労働者の相談対応を行う。
2 過労死等防止対策推進法では,職場におけるストレスチェックの実施を事業者に義務づけている。
3 産業保健総合支援センターでは,産業保健に関する相談への対応や産業保健関係者を対象とした研修を行う。
4 「厚生労働省の手引き」では,休業中の労働者の主治医が職場復帰支援プランを作成することとされている。
5 健康増進法では,事業者に対してセクシャル・ハラスメント防止のための措置を 講ずることを義務づけている。
1は×。まずは職場での早期発見が大切です。
2は×。ストレスチェックは「労働安全衛生法」によって定められています。
3が正解。
4は×。職場復帰支援プランは、事業場内の産業保健スタッフが中心に作成します。
5も×です。セクハラ防止は、雇用機会均等法に基づいています。