第19回 平成29年1月 精神保健福祉士 国家試験 過去問 第15問
問題 15 災害時の精神保健活動に関する用語とその説明に関する次の組合せのうち,正し いも のを 1 つ選びなさい。
1 災害派遣精神医療チーム (DPAT)
都道府県や政令指定都市によって組織される専門的な研修・訓練を受けたチーム
2 サイコロジカルファーストエイド(PFA)
精神科医による専門的精神療法
3 災害医療におけるトリアージ
緊急事態ストレスを経験した人への心理 的介入法
4 災害時こころの情報支援センター
都道府県が設置する情報センター
5 デブリーフィング(debriefing)
不安や恐怖に対する薬物療法
精神保健福祉士の過去問です。
以下、解説
DPAT
災害派遣精神医療チーム(Disaster Psychiatric Assistance Team)です。災害が発生した自治体に、全国各地から派遣されます。
自然災害や犯罪事件・航空機・列車事故等の集団災害が発生した場合、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大する。このような災害の場合には、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマ ネージメント、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援が必要である。
このような活動を行うために都道府県及び政令指定都市(以下「都道府県等」という。)によって組織される、専門的な研修・訓練を受けた災害派遣精神医療チームが DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team: DPAT) である。
- DPAT は、被災都道府県等からの派遣要請に基づき活動すること。被災地での活動に当たっては、被災都道府県等の災害対策本部の指示に従うこと。
- 都道府県等DPATを構成する班のうち、発災から概ね48 時間以内に、被災した都道府県等において活動できる班を先遣隊と定義する。
- DPATは以下の職種を含めた数名で構成すること。
被災地のニーズに合わせて、児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成すること。 DPAT事務局
とされています。
先日の豪雨で、災害派遣精神医療チーム(DPAT)が活動しているとの記事もあります。
サイコロジカルファーストエイド
災害や大事故などの際の心理支援のマニュアルです。「心理的応急措置」などと訳されています。
兵庫県こころのケアセンターにサイコロジカル・ファーストエイド実施の手引きがあります。
「サイコロジカル・ファーストエイド 実施の手引き 第2版」(Psychological First Aid ; PFA)は、災害、大事故などの直後に提供できる、心理的支援のマニュアルです。災害精神保健に関する、さまざまな領域の専門家の知識と経験、および、たくさんの被災者・被害者の声を集めて、アメリカ国立PTSDセンターと、アメリカ国立子どもトラウマティックストレス・ネットワークが開発しました。私たちは、PFAに出会い、日本の人たちにもぜひ知っていただきたいと考え、日本語版を作成しました。
とのこと。学校版もありますね。
災害医療におけるトリアージ
トリアージ(triage)という言葉はフランス語なんですね。「患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと」という意味合いです。
災害時こころの情報支援センター
国立精神・神経医療研究センターが設置しており、災害の発生した地域の後方支援を行います。
デブリーフィング
災害や事故、事件などにより、精神的なショックを受けた人たちが、それについて詳しく話すことで乗り越えようとする手法です。元々は「近況報告・事実確認」という意味の軍隊用語ですね。最近は、あまり効果がないばかりか、ネガティブな影響を与える可能性もあるとの報告もあります。
ということで、正解は 1 のDPATですね。
公認心理師国試対策本