ストレスチェック制度実施者に公認心理師も
2014年、「労働安全衛生法(安衛法)」が改正され、事業者は労働者に対し心理的な負担を把握するためのチェックを行うことが義務づけられました。いわゆる「ストレスチェック制度」です。
この制度を規定している「労働安全衛生規則」が一部改正され、2018年より実務者に「歯科医師」や「公認心理師」が付け加えられたという報道です。
従来は、ストレスチェックの実務者について、次のように定められていました。
(検査の実施者等)
第五十二条の十 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士
ここに「歯科医師」と「公認心理師」も追加されるということですね。公認心理師は、看護師などと同じく「検査を行うために必要な知識についてのであつて厚生労働大臣が定めるものを修了」していることが求められ流ことになると思われます。
こちらの記事にも同様のことが取り上げられていました。
ストレスチェックは2015年12月に施行された改正労働安全衛生法で制定された。50人以上いる事業主は年1回、従業員らにチェックを実施し、結果に基づいた医師による面接指導をしなければならない。
というところは、公認心理師の試験対策としても押さえておきたいところです。
ストレスチェック制度について
『公認心理師現認者講習テキスト』に夜と、ストレスチェック制度の目的は、「労働者自身のストレスへの気付きや対処の支援によるメンタルヘルス不調の一次予防(未然防止)」です。ストレスチェックに用いられる検査には①職場における心理的な負担の原因、②心身の自覚症状、③他の労働者(上司、同僚など)による支援に関する項目を含むこととされ、「職業性ストレス簡易調査票」が用いられることが望ましいとのことです。
あすからストレスチェック義務化 中小企業の経営者らが測定体験
産業・労働分野のキーワード
関連して覚えておきたいキーワードをあげておきます。
労働安全衛生法
労働安全衛生管理に関する基本的なことが定められています。
労働三法
「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」によって労働者の権利が具体的に示されています。
労使協定
36(さぶろく)協定とも呼ばれています。労働基準法では、時間外・休日労働は禁じられていますが、協定を結び行政官庁に届けた場合には、時間外・休日労働が可能となります。
快適職場指針
「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(1992)が、職場のストレス軽減対策の先駆けとなったそうです。
THP指針
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(1988)で、「トータルヘルスプロモーションプラン(THP)」と呼ばれています。
事業場における労働者の健康づくりのための指針(2000)
「心の健康づくり計画」に基づき、
という4つのケアを実施し、メンタルヘルス不調に対する
- 一次予防(未然防止)
- 二次予防(早期発見)
- 三次予防(職場復帰支援等)
が円滑に行われるようにすることとされています。
また、この指針などで用いられている「メンタルヘルス不調」という言葉は、精神障害や自殺だけでなく、ストレスや悩み事、労働者の心身の健康など幅広い問題を含んでいます。
過労死防止対策推進法(2014)
「業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」を過労死等と定義し、その防止のための対策を定めています。
自殺対策基本法(2006)
「自殺総合対策大綱」
ハラスメント対策
男女雇用機会均等法では、職場のセクシュアル・ハラスメントへの対策が義務付けられています。また、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に対する円卓会議」(2012)では、パワーハラスメントが取り上げられました。「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(2016)では、パワハラに対する取り組みが示されています。
ストレスチェック制度に関する国家試験過去問(精神保健福祉士)
精神保健福祉士の過去問に、ストレスチェック制度についての過去問がありました。
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度」とは、「労働安全衛生法」で定める「労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査及びその結果に基づく面接指導の実施等を事業者に義務づける制度」のことである。
1 . 精神疾患に罹患している労働者を発見することが目的である。
2 . 労働者数50人未満の事業場の事業者にも、実施義務がある。
3 . 精神保健福祉士が検査の実施者となるためには、一定の要件を満たす必要がある。
4 . 実施者は検査結果を、事業者に通知する義務がある。
5 . 心理的負担の程度が高い労働者は、医師による面接指導を受ける義務がある。 ( 第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健の課題と支援 )
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正解は3ですね。