臨床心理学雑記

最近は心理学・臨床心理学あたりの覚書

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心理学・臨床心理学の成り立ちー公認心理師試験出題基準から

試験対策

令和4年版 公認心理師試験出題基準・ブループリントの大項目、

4 心理学・臨床心理学の全体像

から、

(1)心理学・臨床心理学の成り立ち

について、「このあたりを勉強してみては」という感じでざっくりと線を引いてみます。

 

第5回公認心理師試験「出題基準」(ブループリント(公認心理師試験設計表)を含む。)

令和4年版 公認心理師試験出題基準・ブループリント

 

 

過去問はこちら

 

ダウンロードして一つのフォルダに放り込んでキーワードで検索すると便利です。

 

要素主義

 

日本心理学会の「心理学って何だろう」のコーナー?に「再評価されるヴント」というサトウタツヤさんのエッセイが掲載されています。

https://psych.or.jp/interest/mm-02/

 

”心理学史のマスターナラティブ(支配的な語り)は以下のようなものです。 「フェヒナー(Fechner, G. T.)の精神物理学を前史としてヴントによって近代心理学が成立し,その後に行動主義・精神分析ゲシュタルト心理学という三大批判潮流があらわれた。第二次世界大戦後になると心理学の中心がアメリカに移ったこともあり,行動主義・精神分析が隆盛を極める。しかし,これらの科学主義を批判した第三の心理学として人間性心理学が登場,また,認知心理学も行動主義の研究対象の狭さを批判して新しい潮流を作っている」”

 

”近年の心理学史研究はヴントの再評価を進めています。1.ヴントは同時代の人たちとは異なり,心理学の体系化に力を尽くした,また,多くの教え子を育てた。実験心理学だけでなく,産業心理学・個人差心理学など広い範囲の分野に進んだ人も多かった。また,臨床心理学のウィトマー(Witmer, L.)もいる。2.ヴントの意識心理学は意識が要素であることを重視したのではなく,統覚(アパーセプション)というプロセスを重視した。3.意識の実験研究だけなくVolkerpsychologieを構想していた。”

 

 

ゲシュタルト心理学

 

ゲシュタルト心理学と現象学 「立ち消えになった認識革命」 からの出発

渡辺恒夫 - こころの科学とエピステモロジー, 2019 - jstage.jst.go.jp

 

生態学的現象学の源泉としての マッハ, ゲシュタルト心理学, シェーラー

横山陸 - メルロ= ポンティ研究, 2019 - jstage.jst.go.jp

 

あとでこの辺読んでみよう。

 

ゲシュタルト心理学者ケーラーのチンパンジー実験

 

なんてのも。

 

精神分析

 

山崎孝明『精神分析の歩き方』が面白かったですよ。

https://amzn.to/3lvSuNB

 

あとは、日本精神分析協会のサイトを見てみたり。

https://www.jpas.jp/ja/

 

しかし深入りすると沼でしょう。

 

公認心理師試験対策としては、「沼にはまらぬようあっさりと」。

 

行動主義

ワトソンの『行動主義の心理学』Kindle版も出ているのですね。

https://amzn.to/3Mz2txq

 

概要は、コトバンクの「行動主義」の項目を。

https://kotobank.jp/word/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E4%B8%BB%E7%BE%A9-62895

 

”ワトソンは科学の目的を「予測と制御」であるとした。行動は外的行動と外からは観察されない内的行動に分けられ,思考なども微小な筋肉運動などの分析で研究できるとした。”

 

行動主義から構成主義

西城卓也 - 医学教育, 2012 - jstage.jst.go.jp

”人は何をどのように考えているのか? を研究するのが心理学であり,19世紀後半から盛んになりました.当時は,「どう考えているか」を知るため,「どう考えているの?」と聞く方法が主たる方法(内観法)であったと言われています.行動主義に基づく心理学においては,それは客観性がないと批判し,頭の中の思考回路をブラックボックスと見なしたそうです.むしろ目に見えて科学的に観察できる「行動」に着目して評価・研究を目指すのが,行動主義の原則的な立場と言えます.”

 

 

新行動主義

新行動主義理論と BF スキナーの行動工学

策藤, 志用, 精神分析, 実体概念, 科学的構成体 - hirogaku-u.repo.nii.ac.jp

 

”20世紀の心理学は意識からこころ、そして行動へとその対象を移してきた。より客観的で科学的な方法と理論の探求の要請がそうさせたのである。行動療法はB.F.スキナーの強化随伴理論をベースにしているが、さらにH.J.アイゼンク、J.ウオルピらの手による神経症の学習消去手続きの採用が病院臨床応用に拍車をかける機縁をなした。認知行動療法は1970年代から国際的に注目されはじめ、今日の隆盛をみるに至っている。行動の心理的カニズムは、将来的に脳科学研究によって解明される日の近いことが期持される。”

 

行動主義と操作主義

小川隆 - 心理学研究, 1951 - jstage.jst.go.jp

 

1951年は古かったか。

 

 

認知心理学

 

認知心理学は,知ること(知識を獲得すること),認識することにかかわる心理的過程を研究する学である。この心理的過程を情報処理information processing(人間の情報処理human information processing)ともいう。英語のcognitionは,知ること(知識を獲得すること),認識することの意味をもち,ラテン語のcog(ともに),noscere(知る)に由来する。”

コトバンクから。

https://kotobank.jp/word/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-171450

 

日本認知心理学

http://cogpsy.jp/

認知心理学とは人間の心、特に知覚、記憶、思考、言語、学習、意思決定、行動選択などの認知の働きを解明することを目的とする心理学の一分野である。近年は、発達心理学社会心理学、臨床心理学、神経心理学の周辺領域のみならず、哲学、工学、医学、芸術学などの広範な学問領域へも接点を広げている。さらには、産業界などとの連携も深まってきており、人間の知的な心の働きに関する学問分野として、今後も、ますます研究の進展が期待されている。”

 

認知心理学研究』既刊リスト

http://cogpsy.jp/journal/past

 

 

認知神経科学

 

認知神経学会

https://plaza.umin.ac.jp/~scn/index.html

 

認知神経科学会は、高次脳機能についての科学的解明を目的として設立されました。

神経心理学、神経生理学、神経科学、脳画像、教育学、心理学、脳外科学、神経内科学、精神医学などの学際的交流をめざしています。”

 

学会誌「認知神経科学

https://plaza.umin.ac.jp/~scn/kaishi.html

 

 

発達性ディスレクシアの認知神経科学的理解―大細胞系視知覚と聴知覚について―

豊巻敦人 - 心理学評論, 2011 - jstage.jst.go.jp

 

読みとワーキングメモリー:「学習障害」 研究と認知科学

室橋春光 - LD 研究, 2009 - eprints.lib.hokudai.ac.jp

 

Google Scholarで「概説論文」を指定して検索すると良さげです。

 

 

科学者-実践者モデル <scientist-practitioner model> 

 

実証的臨床心理学教育における科学者実践家モデルの役割

村椿智彦, 富家直明, 坂野雄二 - … 医療大学心理科学部研究紀要 …, 2010 - hsuh.repo.nii.ac.jp

 

”この科学者実践家モデルは,精神医学の治療者養成モデルをベースにしつつ,臨床心理学の領域における独自の実践家の養成に関して,研究者と臨床家を融合した訓練を行うものであり,このモデルに則って育成された臨床心理士は,科学界に自ら産出した臨床データを提出する能力がある研究者であると同時に,アセスメントと治療の最新の研究知見を臨床実践に適用し臨床介入の適正な評価ができる実践家となることが期待された”

 

だそうです。

 

生物心理社会モデル [biopsychosocial model<BPS>] 

BPSモデルは1970年代にEngelという精神科医が提唱したモデルです。それまでの病気の理解としては、Biomedical Model(生物医学モデル)という「病気の原因→疾患・障害」という直線的な因果関係が想定されていました。

しかしながら、このモデルでは病気の原因は1つのため、治療の選択肢も1つであったり、慢性の病気など原因が一つに特定できない病気については十分に説明できないといった問題点がありました。

こうした中で、登場したのがBPSモデルです。患者さんを、遺伝子や体の構造などの生物学的な面、気分や行動といった心理学的な面、生活する社会や文化などの社会的な面という3つの側面から包括的にとらえるというモデルです。

3つの側面それぞれからアセスメント(評価)を行うことで、問題を様々な視点からとらえ、治療や支援を検討・実行するための枠組みであり、精神疾患だけではなく、がんなどの身体疾患を抱える患者さんへのケアにおいても活用されています。”

http://mito-mental.com/topics/articles/00661/index.html

 

生物・心理・社会モデルによるレジリエンスの理解と学校教育への適用

池田誠喜, 芝山明義, 後藤正彦 - 鳴門教育大学研究紀要, 2019 - naruto.repo.nii.ac.jp

 

境界性人格障害の形成に関する生物-心理社会的モデルの理論的検討

井沢功一朗 - 上越教育大学心理教育相談研究, 2001 - juen.repo.nii.ac.jp

 

富田 拓 (著)『子どものこころの発達を知る 8 非行と反抗がおさえられない子どもたち─ 生物心理社会モデルから見る素行症・反抗挑発症の子へのアプローチ─』

上野千穂 - 児童青年精神医学とその近接領域, 2018 - jstage.jst.go.jp

 

このあたりもあとで読んでみます。

 

 

精神力動アプローチ

 

このへんも、

山崎孝明『精神分析の歩き方』を参照。

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認知行動アプローチ

 

新世代の認知行動療法

熊野宏昭 - 2012 - hikumano.umin.ac.jp

 

認知(行動)療法とは? | こころのスキルアップ・トレーニング

 

一般社団法人 日本認知・行動療法学会

 

日本認知療法・認知行動療法学会

 

日本の心理・精神医学系学会って、似たようなのが二つに分かれる傾向があるんですかね?

 

人間性アプローチ

人間性心理学は,このような当時の主流学派に対する批判とそれらに代わる立場として生まれた。人間の行動の細部や異常な面にこだわらず,健康で成熟した人格の性質の考察に向かった。ロジャーズRogers,C.R.(1957)は,精神分析の指示的療法を批判して,個人の内面や自発性が促進される非指示的療法non-directive psychotherapy,のちの人間中心療法person-centered therapyを創始し,個人の自由な選択と決定,また成熟への可能性を最大に発揮しつつ生きる自己実現self-actualizationを提唱した。マズローMaslow,A.H.(1954,1962)も,個人が「完全な人間」に向かって真実を求め,善意をもって行動する際,低次の生理的欲求や安全や所属と愛情の欲求を満たす行動の水準を超えて,尊重と承認の欲求,さらに高次の「自己実現」の欲求を達成する行動が動機づけられるという欲求階層説need-hierarchy theoryを唱えた。また,人生の中で最もすばらしい幸福と充実の瞬間を至高体験peak experienceとよび,人がそれを実感したときの特徴を,調査結果に基づいて具体的に示した。”

コトバンク

https://kotobank.jp/word/%E4%BA%BA%E9%96%93%E6%80%A7%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-1574764

 

日本人間性心理学会

 

 

ナラティブ・アプローチ

 

医療におけるナラティブ・アプローチの 最新状況 - J-Stage

https://www.jstage.jst.go.jp › article › naika › _pdf

 

斎藤清二 著 · 2019 · 

”Narrative based medicine(NBM)は,1998年に英国のGreenhalgh T,Hurwitz Bらによって提唱された医 学/医療の概念であり,evidence based medicine(EBM)を補完する概念として一定の関心を集めてきた.本 邦では,EBMとNBMは「患者中心の医療を実現するための車の両輪」と理解されている.近年,医療構造の急 激な変化に伴い,改めてNBMの重要性が注目されている.また,2000年にCharon Aによって米国で開始された 医学教育のムーブメントであるnarrative medicine(NM)は,医療者に必要な物語能力を涵養する教育法とし て,本邦の医学教育にも取り入れられつつある.本稿では,医療におけるナラティブ・アプローチとしてのNBM とNMの歴史・変遷を概観すると共に,現代の医療,特に地域包括医療,多職種連携ならびに医療人教育等の分 野における最新の動向を加えて紹介したい”

 

”ナラティブは,代替の効かない個人に焦点を 当て,経験を言葉によって意味付ける働きを持 ち,語り手と聴き手,書き手と読み手を結び付け,そして,物語を共有する全ての人に連携と 協働をもたらす.文学研究者で医学教育者でも あるMontgomery Kは,著書「Doctors’ stories」4) において,医学は一般に信じられているような 純粋な科学的営みではなく,その中核は物語 的・解釈的な実践であることを明らかにした.”

 

 

看護ケアにナラティブ・アプローチを導入した老年患者の語りの変化の研究

吉村雅世, 内藤直子 - 日本看護科学会誌, 2004 - jstage.jst.go.jp

 

LGBT 当事者の自己形成における心理的支援に関する研究: ナラティヴ・アプローチの視点から

枝川京子, 辻河昌登 - 2011 - core.ac.uk

 

被害と克服へのナラティヴ• アプローチ

野口裕二 - 法社会学, 2004 - jlc.jst.go.jp

 

 

社会構成主義

 

ナラティブ/社会構成主義について

http://www.akita-pu.ac.jp/reccs/shwatanabe/narrative.html

 

社会構成主義では、人は客観的事実の世界に生きているのではなく、自ら意味づけた(または周囲から意味づけられた)世界に生きていると考えます。 そして自らや環境に意味を与え、それを再構成し、それに基づいて思考・行動していきます。別の言い方をすると、個人の学習は環境との相互行為によって 成り立ちます。即ち周囲の人からの評価や周囲の人たちとの関係の中で、その行為の意味が個人の中に形成されていきます。そしてその大きな物語に沿って 個人は人生を歩んでいきます。