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問16 バウムテストと空間象徴理論と先端処理について|第1回公認心理師試験ふりかえり

第1回公認心理師の試験問題のふりかえりをぼちぼちしています。

問16は、「バウムテスト」についての問題でした。

いくつかの解答速報では

④の「グリュンワルドの空間象徴理論に基づいて解釈を行うことを基本とする」が正解にされていましたが、別の速報では、⑤の「対人関係や感情表出の特徴を示す指標として、枝の先端の処理に注目」が正解になっています。

 

ツイッターなどのコメントを見ても、④か⑤かで割れているみたいですね。

 

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Google Scholarで、調べてみました。

 

一谷彊先生の論文のアブストラクトにはこうあります。

コッホ(Koch,K.)のバウムテスト(Baumtest:樹木画テスト:Tree-Drawing Test)の診断的解釈に際しては,描出の形態的(発達的)側面,筆蹟学的(情緒・性格的)側面,及び空間象徴的側面(所与の環境に対する自己定位の様相と自己の持ち歩く空間)の,これら3側面を重視して,そこに焦点をあわせつつ,統合的に解釈していく。本稿ではこれらを理論的,具体的に展開したうえで,バウムテスト診断的解釈に必要なさらに今ひとつの側面としてのヴィットゲンシュタイン指数(Wittgenstein Index)についても言及したうえで,これら諸側面を加味してのバウムテスト診断的解釈の手順と留意点について記述する。

バウムテスト診断的解釈の基礎理論と実際的技法(I):診断的解釈の理論と手順

バウムテストの解釈における基礎理論として、「空間象徴的側面」も入っています。もちろんコッホの本にも登場します。

でも空間象徴理論だけで解釈するわけでもないので、これに基づいて解釈を行うことを「基本とする」と言い切られると、「どうだろう」と躊躇してしまいました。

 

一方、

[PDF] 非行少年への感情表出トレーニング適用に関する事例研究

という論文には、

枝の先端が区切られていることや枝の描き直しの線が複数見られることから、周囲への拒否感情や逸脱傾向の強さがうかがわれた。

といった記述がありました。

枝の先端処理を、対人関係や感情表出の特徴を示す指標と考える見方も、確かにあると思います。

 

というわけで、この問題の回答も悩ましいですね。

 

追記:12月8日

「第1回公認心理師試験(平成 30 年9月9日実施分)の合格基準及び正答について」を見ると、正答は⑤となっています。