公認心理師試験「出題基準」(ブループリント)のキーワードから、「合理的配慮」について取り上げています。
17「福祉に関する心理学」の中項目「(2)福祉現場における心理社会的課題と必要な支援方法」の小項目(キーワード)に「合理的配慮」が挙げられています。
合理的配慮とは
合理的配慮とは、
- 障害のある人々の人権が障害がない人と同じように保証される
- 教育・就業・その他の社会生活において平等に参加できる
ためにおこなわれる配慮のことです。
2016年に施行された「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」によって、可能な限り合理的配慮を提供することが、行政や学校、企業などに求められることになりました。
学校における合理的配慮の具体的な例が、リタリコのホームページに挙げられています。
また、東京都のyoutubeチャンネルにも、障害者差別解消法のPR動画として合理的配慮についてのわかりやすい説明があります。
心理学ワールドの次の記事には、「インクルーシブ教育」などにも触れられており、参考になります。
合理的配慮に関する予想問題・過去問
介護福祉士の過去問に、合理的配慮について扱っているものがありました。
「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。
1 . 「障害者総合支援法」の基本的な理念のもと、障害者の差別の解消を具体的に実施するためのものである。
2 . 障害者を身体障害、知的障害および精神障害のある者に限定している。
3 . 行政機関に対して、障害者に対する合理的配慮を法的義務としている。
4 . 差別について具体的に定義し、その解消に向けた措置等を定めている。
5 . この法律以前に、障害を理由とする差別や不利益な取り扱いの禁止について定めた条例を制定した地方公共団体は存在しない。 ( 介護福祉士国家試験 第27回(平成26年度) 人間の尊厳と自立 )
↓↓↓
↓↓↓
↓↓↓
1 誤り。「障害者差別解消法」は、国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として制定されました。
2 誤り。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
と定められています。三障害だけでなく「その他の心身の機能の障害」がある者も含まれています。
3 こちらが正解です。
例えば第八条には次のように定められています。
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
4 誤り。「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」の具体的な内容については、基本方針や対応要領、対応指針などで示されています。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け> - 内閣府
5 障害者基本法(昭和45年)第4条にも「差別の禁止」が定められています。「障害者差別解消法」は障害者基本法の理念にのっとり、障害者基本法第4条の「差別の禁止」の規定を具体化するものとして位置づけられています。