臨床心理学雑記

最近は心理学・臨床心理学あたりの覚書

【スポンサーリンク】

反応性アタッチメント障害(第5回公認心理士試験キーワード)


試験用(令和4年度)の公認心理師試験は2022年7月17日が予定されています。

 

令和4年版 公認心理師試験出題基準・ブループリント

http://shinri-kenshu.jp/wp-content/uploads/2022/01

の令和3年度版との違いは、

「アタッチメント障害」

というキーワードが、

「アタッチメント障害(反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害)」

とより詳しくなったことと、

「自立援助ホーム」

というキーワードがなくなったことです。

キーワードを勉強する方法として王道なのは、過去問を解いてみるというのももちろんですが、Google Scholarなどで最近の研究などを読んでみるのもおすすめです。

というわけで「アタッチメント障害」で検索してみました。

アタッチメント障害

アタッチメント理論の現在—生涯発達と臨床実践の視座からその行方を占う—

 ボウルビーの主要な関心は, 元来, 人間におけるアタッチメントの生涯にわたる発達(すなわち連続性と変化)と, 情緒的に剥奪された子どもとその養育者に対する臨床的な介入にあった。近年, 幼少期における子どもと養育者のアタッチメント関係が, 子どもの, アタッチメントの質それ自体を含めた, その後の社会情緒的発達にいかなる影響を及ぼすかということについて, 実証的な知見が蓄積されてきている。本稿では, まず, 児童期以降におけるアタッチメントとその影響に関する実証研究と, 乳児期から成人期にかけてのアタッチメントの個人差の安定性と変化に関するいくつかの縦断研究の結果について, 概観を行う。次に, アタッチメント理論の臨床的含意について, 特に, 無秩序・無方向型アタッチメントとアタッチメント障害, そして, そうした難しい問題を抱えた事例に対するアタッチメントに基づく介入に焦点を当てながら, レビューし, また議論を行う。最後に, 日本の子どもと養育者のアタッチメント関係の特異性をめぐる論争とそれが現代アタッチメント理論に対して持つ理論的含意について批判的に考察し, さらに日本におけるアタッチメント研究の現況が抱えるいくつかの課題を指摘する。

キーワードとしては、
・アタッチメントの連続性と変化
・世代間伝達
・内的作業モデル
・無秩序・無方向型アタッチメント
・アタッチメント障害
・アタッチメントに基づく介入
・日本の子どもと養育者の関係性
などが挙げられています。

2010年に「教育心理学年報」に掲載された、最近のアタッチメント理論のレビューを行なっている論文ですね。前文読めるので目を通しておくといいかも。

 

アタッチメント (愛着) 障害と脳科学

 

 2018年に「児童精神医学とその近接領域」に掲載された論文です。
本稿では,アタッチメント障害児の脳MR画像と臨床症状を評価した。今後も同障害の病態の理解を深め,治療方法の開発につなげるためには,アタッチメント障害の報酬への反応や社会性や対人関係の問題に関与する神経生物学的な基盤を明らかにしていく必要がある。将来的には脳画像などのさまざまなバイオマーカーを用いて,一人一人の病態を捉え,その病態に応じた治療が行われるようになることを期待したい。
とのこと。
 

アタッチメントの安定・不安定とは何か: アタッチメント理論に基づいた研究の成果と臨床実践から探る

埼玉学園大学紀要」2013年
「アタッチメント障害とは何か」の「判定基準について」というところで、いくつかのタイプが挙げられています。


タイプⅠ( 無愛着障害:Nonattached Attachment Disorder)

不安や恐怖を感じた時でも特定の養育者を好むことがない。

タイプⅡ(無差別愛着障害:Indiscriminate Attachment Disorder)

知らない人にも親しくするなど社会的に無差別な行動を示す。

タイプⅢ( 抑制愛着障害:Inhibited Attachment Disorder)

過度に警戒し、感情表出を抑制する。アタッチメント対象を恐れているように見える。

タイプⅣ(攻撃的愛着障害:Aggressive Attachment Disorder)

アタッチメント対象を好みつつも、対象や自身への攻撃性や怒りの爆発によって阻害されてしまう。

タイプⅤ(Role-Reversed Attachment Disorder)

親子の関係が逆転しており、子どもが親の役割や責任を引き受けている。

 

「脱抑制型対人交流障害」についても検索してみました

ストレス関連障害を示す発達障害

林剛丞, 江川純, 染矢俊幸 - ストレス科学研究, 2015 - jstage.jst.go.jp

またAD/HDはDSM-5における脱抑制型対人交流障害と状態像が似ており,しばしば鑑別が問題となるが,ASDとRADの関係と同様に,両者が合併しやすいため鑑別は困難である。

とあった。試験問題なんか作れそうですね。

 

なんて感じに、検索して上から良さそうなのをいくつか読んでみると、そのキーワードに関してより深くて広い知見を得ることができます。