臨床心理学雑記

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P. Wall と R. Melzack のゲートコントロール理論と痛み・疼痛の神経心理学

 

問7

  1. Wall と R. Melzack のゲートコントロール理論が、元来、対象としていた感覚として、最も適切なものを1つ選べ。 

① 温覚 

② 嗅覚 

③ 痛覚 

④ 触圧覚 

⑤ 自己受容感覚

 

正解は③です。

 

ゲートコントロール理論(Gate control theory)とは、Patrick D.Wall(1925-2001)とRonald Melzack(1929~)らが1965年に提唱した疼痛抑制に関する理論です。



ゲートコントロール理論とは

ゲートコントロール理論とは、脊椎には神経学的「ゲート(門)」があって、疼痛信号をブロックするかそれとも脳に伝えるかは、そのゲートの状態によるというものです。

幻肢や慢性疼痛を説明するときによく使われている理論ですね。

 

1965年、研究者のロナルド・メルザックとパトリック・ウォールは、痛みのゲートコントロール理論を概説する論文を発表しました。

精神状態が痛みの知覚にどのように影響しているかを説明し、痛みの感覚を軽減させることが研究の目的でした。

 

椅子とかテーブルに脛を打ち付けたとき、私たちは自然とそこに手をやり、こすったりなでたりします。

転んだ子供に親が「いたいのいたいの飛んでいけ」となでるのも同じです。

正常な触覚情報が与えられると、疼痛繊維活性を阻害し、疼痛知覚を減少させる、というのがゲートコントロール理論による説明です。

ゲートコントロール理論の仕組み

けがをしたとき、痛みの信号は脊椎に伝達され、続いて脳に向かいます。その過程で、神経ゲートが痛み信号を通過させるかどうかを選択しているのだそうです。

 

大きな線維活性は抑制性ニューロンを興奮させ、疼痛情報の伝達を減少させる。小さな繊維は抑制性介在ニューロンを妨げ、疼痛情報が脳に移動することを可能にする。

 

ゲーコントロールを使って痛みを軽減する方法

ゲートコントロール理論を使って、痛みを軽減させるにはどうしたらいいのでしょうか?

1.他のことに集中する

 電話で友人と話をしたり、お気に入りのテレビを観ていたら、痛みを忘れることがあります。痛みから気を逸らす方法を見つけてみましょう。

2.定期的に運動する

 定期的に運動して体調を整えることで、痛みの信号が脳に届きにくくなります。アメリカ人のための運動のガイドラインというのがあるそうで、それによると少なくとも週に150分の中程度の運動が推奨されています。

3.リラックスする

 自然の中を散歩したり、ソファに転がって本を読夢などして、リラックスすること。漸進的筋弛緩法(Progressive muscle relaxation :PMR)を行うことや誘導イメージを使ったリラクセーション法で、がん患者の疼痛の重症度が軽減したとの研究もあるそうです。

4.楽観的に考える

 楽観的であることもまた、痛み信号が脳に届かないようにする方法です。ポジティブで幸福を感じている人ほど、痛みに影響されにくく、逆にたくさん心配する人ほどより大きな痛みを経験します。

5.反対刺激法(counter-stimulation techniques)を使う

 マッサージや温熱パッド、鍼治療などもゲートを閉めて痛みを和らげる方法です。

ゲート制御理論とは (verywellmind.com)

を参考にしました。