臨床心理学雑記

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公認心理師の年収・収入はいかほどか?

第一回公認心理師国家試験の結果が、北海道の追加試験も含めて発表されました。

 

2018年9月の試験で合格したのが27,876名、北海道の試験の合格者が698名でした。心理研修センターのサイトによると、

公認心理師法第28条に,公認心理師試験に合格した方が「公認心理師」となるには,一般財団法人日本心理研修センター(以下「センター」という。)に登録申請を行い,所定の事項についての登録を受けなければならないことが定められています。

とありますので、登録を受けて初めて「公認心理師」と名乗ることが認められます。

多くの人が、公認心理師の名簿に登録手続きをすると思われますので、今年2019年の4月には3万名弱の公認心理師が誕生することになります。

 

これから公認心理師を目指す、という人にとっては、「公認心理師ってどれくらい年収があるのだろうか」ということはきになるところだと思います。

 

しかしなにぶん今年初めて誕生する国家資格ですので、「公認心理師の年収はいくら」と、はっきりしたデータがあるわけではありません。

 

これまで心理の仕事を荷ってきた民間資格である臨床心理士の年収・収入は、いくらか参考になるかと考えられます。

 

平成28年(2016年)に一般社団法人日本臨床心理士会によって報告された「臨床心理士の動向調査」を見てみましょう。

 

2015年7月の時点で、臨床心理士数は27,934 人とのことです。で日本臨床心理士会に会員登録していた臨床心理士は19,533 人で、これらの人が調査の対象となっています。

10,321 人が調査票に回答しているとのことですので(回収率52.8%)、概要を知るには問題ないと思われます。

 

性別を見ると、

男性2,289 人(22.2%)、女性8,020 人(77.7%)、無効回答12 人(0.1%) であった。男女比は1:3.5 であった。

 とあり、女性が多いのは確かなようですね。

 

年齢は、30代が34.8%と最も多く、 次いで、40 歳代26.9%、50 歳代17.9%、60 歳代9.9%の順となっています。

 

現住所は関東地区が40.0%と最も多く、次いで、近畿地区18.5%、北陸中部地区15.6%の順とのことでした。

地方にはまだまだ臨床心理士(そして公認心理師)は少ないと思われます。

 

教育歴・最終学歴については、

最終学歴では、修士課程修了程度の者(6 年制大学卒・博士課程中 退を含む)が73.2%と最も多く、次いで、4 大卒14.4%、博士課程修了程度(満期退学を含む)が12.2%の順であった。

とあります。

今後、公認心理師だけの人も増えてくると思われますが、そうなると教育歴・最終学歴はいくらか変化してくると予想されます。大学卒の公認心理師がどれくらい増えるかはまだわかりませんが、割合としては増加するのでしょうね。

最終学位では、修士号取得者(6 大卒・博士課程中退を含む)が78.0% と最も多く、次いで、学士14.1%、博士号が6.1%の順であった。

とありますが、こちらも同様に変わっていくと予想されます。

 

研修およびスーパーヴィジョンについては、次のように報告されています。

現在受けている臨床心理業務の研修として最も高率であっ たのは、職場外での研修会・研究会等であり、続いて、職場 内での研修会・研究会等であった。職場内での研修会・研究会に参加している者は50.3%、グループSV を受けている者は 24.8%、個人SV を受けている者は13.8%であった。職場外で の研修会・研究会に参加している者は89.2%、グループSV を受けている者は26.9%、個人SV を受けている者は28.1%であ った。 

SVを受けている人の比率については、公認心理師の質を高めるためにも気になるところではあります。臨床心理士と違って、資格の更新がないので、SVを受ける人の割合は減るのではないかと予想されます。

臨床心理士においても、欧米の心理職と比べると、スーパーヴィジョンや教育分析を体験している人が少ないことの問題点は、指摘されてきました。

このあたりは公認心理師の時代になっても、問題となるのではないかと思われます。

 

「就業形態」については、

常勤勤務者の率は、常勤のみが33.8%、常勤+非常勤が13.8%の計47.6% であった。非常勤のみは44.7%で、常勤勤務者(非常勤兼務者を含む) と非常勤のみの勤務者はほぼ同数であった。

とあります。

公認心理師という国家資格ができると、常勤勤務者が増えるのではないかと期待されています。しかし、他の国家資格をみても、必ずしも「国家資格だから常勤が多い」というわけでもなさそうです。

あまり期待しすぎない方がいいのではないか、とも思いますが、どうなるでしょうか。

 

気になる「年収」については、次のように報告されていました。

2015 年度の見込み年収(税込み)は、300 万円台が19.0%と最 も多く、続いて前後の200 万円台が16.5%、400 万円台が15.5% と、この3 階級で回答者の約半数を占めた。

1000万以上が3.3%、900万円代が1.8%と、高収入の臨床心理士も含まれていますが、この多くは医師や大学の教員で臨床心理士資格も持っている人だろうと予想されます。

 

ですので、臨床心理士の平均年収はおおよそ300万〜400万円の間になるのでしょうね。

 

となると、公認心理師の平均的な年収もほぼ同じくらいになるのだろうと予想されます。

 

臨床心理士の年収は低い?20~65歳の年齢別・役職別・都道府県別年収推移|平均年収.jp

 

によると、臨床心理士の平均年収は340万円とのことでした。

 

ちなみに、

 

精神保健福祉士の平均年収は、350~400万円、

作業療法士の平均年収は、471万円とのことです。

 

公認心理師という国家資格ができたからといって、急に年収が上がるということは期待しない方が良さそうですね。

 

時給が約五千円と高収入と思われているスクールカウンセラーも、平均的な年収を見ると、約380万円。フルタイムでSCばかりをしたら650万円ほどとのことでした。

 

実際は、フルタイムでSCをできるところはそう多くないかもしれません。

 

公認心理師として、年収を少しでも上げたいというときにはどうすればいいでしょうか。

 

医師を別とすれば、大学の専任教員になったり(非常勤はワーキングプアの人が多いです)、学校の教員や公務員として働くと、それなりの年収は得られそうです。

そうでなければ、地方でスクールカウンセラーを頑張るというのも一つの方法ではないかと思います。

 

開業カウンセラーになる、という手段もありますが、こちらはまた自営業としての難しさがありそうですね。