臨床心理学雑記

最近は心理学・臨床心理学あたりの覚書

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公認心理師試験の出題基準とブループリント

日本心理研修センターで公認心理師試験出題基準(平成30年度版)が公表されています。

shinri-kenshu.jp

 

すでにあちこちで取り上げられていますが、ここでも自分の覚書としてまとめておきます。

公認心理師出題基準

公認心理師の国家試験は、公認心理師法第5条に基づいて、「公認心理師として必要な知識及び技能」を問われることになります。

公認心理師として業務を行うために必要な基本的知識や技能が具体的項目で示されたものが、「公認心理師試験出題基準」です。

 

「公認心理師出題基準」については次のように定義されています。

(1) 定義
公認心理師試験出題基準は、公認心理師試験の範囲とレベルを項目によって整理したものであり、試験委員が出題に際して準拠する基準である。

(2) 基本的考え方
全体を通じて、公認心理師としての業務を行うために必要な知識及び技能の到達度を確認することに主眼を置く。

 

とのことですので、概ね、この「出題基準」に基づいて試験勉強しておけばよいのだと思われます。

ブループリント(公認心理師試験設計表)

ブループリント(公認心理師試験設計表)は、公認心理師試験出題基準の各大項目の出題割合を示したものである。これに基づき、心理職に対するニーズが高まっている近年の状況を踏まえ、社会変化に伴う国民の心の健康の保持増進に必要な分野を含めた幅広い分野から出題するほか、頻度や緊急性の高い分野についても優先的に出題することになる。

 

ブループリントは、項目ごとに出題の割合が示されています。割合が大きいものほど、出題される可能性が高いということなので、優先的に学習しておく必要があります。



ブループリント・出題基準とキーワード

職責の自覚と連携

「出題割合」と「キーワードの例(小項目)」をパラパラと眺めてみました。割合が高いのは「公認心理師としての職責の自覚」「問題解決能力と生涯学習」「多職種連携・地域連携」という三つの項目ですね(9%)。臨床心理士などと比べて公認心理師はより「連携」が重視された資格として設計されているということは多くの人によって指摘されています。おそらく資格試験でも「多職種連携・地域連携」などが重視されるのではないかと思われます。

 

中項目やキーワードには、「公認心理師法」(まあこれは確実に出題されますよね)、「義務・倫理・秘密保持義務」「危機介入」「リスクアセスメント」「インフォームド・コンセント」「チーム医療」といった言葉が挙げられています。

心理状態の観察及び結果の分析

こちらも出題割合が8%と高めです。いわゆる心理アセスメントに関する良いいです。「テストバッテリー」「ケース・フォーミュレーション」「機能分析」「インテーク面接」「関与しながらの観察」「心理検査の種類(質問紙法、投影法、描画法、知能検査、発達検査など)」「生育史」「行動観察」などのキーワードが挙げられています。

 

健康・医療に関する心理学

この分野は9%。医療現場での心理的支援や、ストレス・マネジメントなどの心理教育的な介入、また災害や事件のときの心理的支援などがカバーされています。

 

キーワードは、「生活習慣病」「タイプA行動パターン」「アレキシサイミア(失感情症)」「チーム医療」「遺伝カウンセリング」「リエゾン精神医学」「生活の質(QOL)」「発達相談」「うつ、自殺対策」「職場復帰支援」「依存症(薬物、アルコール、ギャンブル)」「ひきこもり」「認知症高齢者」「サイコロジカル・ファーストエイド」などなど。

 

福祉に関する心理学

同じく9%。虐待や貧困、家族支援・地域支援といったことに関係の深いフィールドです。

 

キーワードとしては、「少子高齢化」「知的障害」「身体障害」「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」「夫婦間暴力(DV)」「高齢者虐待」「心的外傷後ストレス障害」「二次障害」「子育て支援」「ノーマライゼーション」「共生社会」「アウトリーチ(訪問支援)」「回想法」「家族再統合」など。



教育に関する心理学

ここも9%。小中高などの学校現場で生じる問題に関連した心理的・社会的な知識と理解を問われます。

 

不登校」「学級崩壊」「いじめ」「飛行」「学業不振」「スクールカウンセリング」「学生相談」「チーム学校」といったキーワードが挙げられています。

 

ここまでで44%ですので、半分近くは上に挙げた領域でカバーされることになりますね。