臨床心理学雑記

最近は心理学・臨床心理学あたりの覚書

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公認心理師とスーパービジョン

公認心理師試験の覚書です。

 

「公認心理師法」第43条(資質向上の責務)には、「公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第2条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」と定められています。

 

臨床心理士と異なり、5年ごとの更新や「ポイント制」はありませんが、生涯にわたって「知識及び技術の向上」に務める義務があるということですね。

 

研修会や学会に参加するということ以外に、「スーパーヴィジョン」も資質向上のために重要な役割を担っています。

 

スーパービジョンとは

スーパービジョンとは、公認心理師などのカウンセラーが、担当している事例をより深く理解し、適切な支援を行うために受ける個別的な指導のことです。

 

鑪幹八郎らは、スーパービジョンについて「現実的な技術レベルで一般論から特定論への橋渡しができているかをチェックし、吟味する役割を取る」と述べています。

 

 

スーパービジョンの形態

『公認心理師必携テキスト』には、スーパービジョンの種類として、

  1. マネジメントスーパービジョン
  2. クリニカルスーパービジョン
  3. プロフェッショナルスーパービジョン

が挙げられていました。カタカナばかりですね。マネジメントは、業務や担当ケースを割り振り、管理することなどを目的としています。2番目は、例えば病院で、心理師が医師からスーパービジョンを受ける場合などが想定されているようです。3番目が、同職種で行われるものです。

 

スーパービジョンの形態としては、グループでの事例検討会や個別の指導、実際のカウンセリング場面にバイザーが同席するといったような方法があります。

 

スーパーヴィジョンのパワーゲーム

『スーパーヴィジョンのパワーゲーム』という本では、本来はカウンセラーの成長やクライエントの適切な援助のために行われるスーパービジョンがもつ「スーパーヴァイザーの絶対的権力がスーパーヴァイジーに恐怖と盲信と洗脳を強いるリスク」がテーマとなっています。

「いいバイザー」に出会った人は幸運ですが、周りの人たちの経験でも、「バイザーの一言で傷ついたという体験もよく聞きます。

幸運・不運で片付けてしまわないためにも、スーパービジョンのネガティブな側面について知っておくことは必要でしょう。

教育分析について

教育分析(教育カウンセリング)とは、カウンセラー自身が心理療法やカウンセリングを受けることです。

歴史的には、カール・ユングフロイトに教育分析の必要性を提案したと言われています。

カウンセラー・心理師の訓練として、非常に重要な位置づけを与えられています。

14カ国5000人のセラピストを対処にしたオーリンスキーらの研究では、約8割が心理療法を受けた経験があり、それは個人的にも訓練としても有益だったことが明らかにされています。

日本の研究があるかどうかはわかりませんが、欧米と比較すると、教育分析を受けたことのあるカウンセラーはずいぶん少ないと思われます。

 

もちろん教育分析についても、『スーパーヴィジョンのパワーゲーム』で取り上げられているようなネガティブな側面を考えておくことは必要でしょう。