臨床心理学雑記

最近は心理学・臨床心理学あたりの覚書

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問18 E. T. Gendlin とフェルトセンス(第2回公認心理師試験、2019年)

フォーカシングについて知っているかどうか、という問題です。

問18 E. T. Gendlin は、問題や状況についての、まだはっきりしない意味を含む、「からだ」で体験される感じに注目し、それを象徴化することが 心理療法における変化の中核的プロセスだとした。この「からだ」で体験 される感じを表す用語を1つ選べ。

① コンテーナー

② ドリームボディ

③ フェルトセンス

④ フォーカシング

⑤ センサリー・アウェアネス

ユージン・ジェンドリン(E.T.Gendlin)はカール・ロジャースとともにパーソンセンタードのカウンセリングの発展に大きく関わった哲学者です。

 

フォーカシング

夢とフォーカシング

フォーカシング指向心理療法(上・下)』

体験課程と意味の創造

といった著作が邦訳されています。

 

セラピープロセスの小さな一歩

も最近、オンデマンド版で再版されました。

① コンテーナー

これは、精神分析家のW.ビオンの用語ですね。

詳しい人に聞いてみます。

治療者としての私たちは、コンテイナー(包み込むもの)として、アナライザンド(被分析者)の抱えきれないで心から吐き出している不安や破壊衝動、苦悩を含む考えや空想といったコンテインド(包み込まれるもの)を、私たちのこころに包み込もうとしていくのである。https://openbook4.me/projects/163/sections/1052

とのこと。

 

② ドリームボディ

ユング心理学をベースに発展した、アーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学の用語です。

 

ドリームボディ―自己(セルフ)を明らかにする身体 というミンデルの本の紹介で、

「ドリームボディ」は、人間の存在の深層において、「夢」と「身体症状」(病い)を結びつけている高次の存在である。深層の次元に「身心」的リアリティを想定して、夢、病い、身体症状を理解していくパースペクティブは、心理臨床家に新しい視点と深い洞察力、そして多くの実践的な示唆を与えてくれる。身体症状(病い)に隠れた意味を見抜き、その意味を引き受けていくことで自己理解が深まり、新たな人生を拓くまたとない機会となっていくであろう。

と書かれていました。

 

③ フェルトセンス

フェルトセンス(felt sense)とは、はっきりとした言葉やイメージになる前の、からだで感じる曖昧な感覚を表す言葉です。

フェルトセンスとは、「ある特定の問題や状況について〈からだ〉に感じられる漠然とした意味の感覚」と定義されています。

 

フェルトセンスに焦点を当て,それを言い表すことで新しい意味を創出されていくという体験のプロセスが生まれます。

カール・ロジャーズと共同研究をしていたユージン・ジェンドリンは、カウンセリング(心理療法)がうまく展開するかどうかは、「クライエントがどのように話していたか」によって大きく影響されているということを発見しました。

うまくいくセラピーでは、クライエントは知的な理解や説明だけを話すのではなく、「なんか、こう、お腹のあたりがもやもやしていて・・・」といったように、言葉以前のからだの感じに注意が向いているというのです。

 

というわけで、この選択肢③が正解。

 

フォーカシング指向心理療法〈上〉体験過程を促す聴き方

フォーカシング指向心理療法〈下〉心理療法の統合のために

 

④ フォーカシング

フェルトセンスに注意を向けて、プロセスを展開させていくようなアプローチを、ジェンドリンは「フォーカシング」と名付けました。

 

特定の心理療法の技法、として語られることもありますが、たぶんすべての心理療法や日常生活での「気づき」にも関わっています。

 

ジェンドリンの話も聞いてみましょう。

 


www.youtube.com

⑤ センサリー・アウェアネス

エルザ・ギンドラー(1885-1961)によって始められたボディ・ワークということになるのでしょうか。

Sensory Awareness Japan

に説明があります。動画もありますが、こういうのは実際に身をもって体験してみないとわからないでしょうね。

Sensory Awareness Japanのサイトを見てみましょう。

エルザ・ギンドラー(1885-1961)によって20世紀初頭にベルリンで始められたボディワークが、のちにシャーロット・セルバー(1901-2003)によってセンサリー・アウェアネスと呼ばれるようになったとのことです。


www.youtube.com

センサリー・アウェアネス