臨床心理学雑記

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問4:森田療法と精神交互作用|公認心理師試験問題のふりかえり

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なぜかこの度の第一回公認心理師国家試験(2018)は、「森田療法」問題がいくつか出ていましたね。

 

というわけで、森田療法についてもふりかえっておきます。

 

 

 森田療法は、森田正馬(もりたまさたけ/しょうま)によって、大正9年(1919年)に創始された日本独自の精神療法です。

学生時代に森田自身が神経症になり、自分で克服した体験から、この治療法を考案しました。

 

精神交互作用

「精神交互作用」とは、ある感覚に過度に気持ちが向くと、ますます敏感になって気になり始めるという状態を指す言葉です。

「不安で胸がドキドキしている」→「胸が異常に高鳴るし、息苦しい。このままでは呼吸ができなくなっちゃうんじゃないか」→「もっと不安になってきた」

といった悪循環が「神経症」の症状を引き起こすのです。

 

あるがまま(自然服従

森田療法でよく用いられる「あるがまま」とは、気分や感情にとらわれず、目の前のやるべきことを一つ一つやって行きましょうという姿勢です。

「今日は気分が乗らないから、やめておこう」

「意欲が出ないから何もできない」

といって行動を回避していると、ますます気分が沈むし、不安なことばかり考えてしまいます。

そうではなく、

「まずはこのお皿を洗おうか」

日課の散歩をしてみよう」

と行動することが大切だと森田は考えました。

現代の「行動活性化療法」などにも通じるような発想だと思います。

 

絶対臥褥

森田療法には「外来療法」と「入院療法」があります。

入院療法の場合、最初の1週間は「絶対臥褥期」といって、患者は一日中個室に横になって過ごすことを求められるのだそうです。

食事やトイレ以外は、気晴らしもできないので、「どうなるんだろう」とか「あんなことがあった」と不安に狩られますが、不安や神経症の症状などは「起こるまま」にしておきなさいと言われます。

何日かするといつの間にか不安は現象し、「何かしたい」という意欲が出てくるのです。

その後は、主治医との面談や日記療法などとともに、段階的に園芸や料理、動物の世話などの作業を行って行きます。そして、社会復帰の段階が続くということです。

こうして見てみると、一般的な精神科病院の入院治療などでも、うまくプロセスが進んでいる患者さんは同じようなことに取り組むことが多いように思います。

 

ヒポコンドリー性基調

神経症の人の多くは「ヒポコンドリー性基調」という「くよくよ考える」性格傾向を持っていると森田は考えました。

 

内向的なものは、自己内省が強く、したがって自己の身体的、精神的不快や、異常、病的感覚に細かく気がつき、これにこだわり心配するためにヒポコンドリーとなるのである。したがってまたこの気質の人は、卑屈になったり、陰鬱になったり、自己中心的となる。

森田療法におけるヒポコンドリー性基調と精神交互作用[pdf]

とありました。

公認心理師試験の問4の選択肢では、ヒポコンドリー性基調の説明が「注意が外界に向けられ他者に敏感である状態」とあるので、これは間違った選択肢ですね。